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『高知県医師会医学雑誌第20巻』の 刊行に寄せて

日本医師会長 横倉 義武

本文

このたびの『高知県医師会医学雑誌第20巻第1号』のご刊行,誠におめでとうございます。心よ
りお慶び申し上げます。
 貴誌が創刊された平成8(1996)年は,関西地域を中心に,病原性大腸菌O157が大流行し,国
民を震撼させました。また,この年,英国政府は「牛海綿状脳症が極めてまれに人間に感染し,
変異型クロイツフェルトヤコブ病となって発病する可能性がある」ことを発表しています。新興・
再興感染症の手強さを改めて実感させられた出来事でした。
 貴誌が第1巻から第17巻までは,高知市医師会がその刊行事業を担っておられたことを伺い,
驚いております。もちろん,全国では多くの地区医師会が会報を刊行しています。しかし,医
学雑誌を刊行されることは非常に稀ではないでしょうか。そして,第18巻から刊行を引継ぎさ
れた高知県医師会の担当役職員の方々にも敬意を表します。医師の生涯教育を事業の大きな柱
の一つとしている日本医師会としては,刊行に当たられた諸先生方のご尽力に対し,心から畏
敬の念を持つものです。
 疾病の発生・発症が,気候や文化をも含めた地域環境に影響される部分が少なからずあると
すれば,地域医療を行っている医師が,日々の多忙な診療活動の傍ら医学的知見を発表するこ
とは,非常に意味のあることと思われます。同時に,医療連携という観点からもきわめて重要
です。
 さて,わが国は,超長寿社会であるとともに超高齢社会を迎えています。そのため,特に団
塊の世代が75歳以上となる2025年以降を見据え,病床機能の分化・連携,在宅医療・介護の充
実などを図ることで,地域の特性に則した地域包括ケアシステム,なかんずく医療提供体制の
再構築が求められていると考えます。
 他方,医学・医療の進歩は,止まるところを知りません。今日,iPS細胞を用いた再生医療に
おきましては,臨床応用が始まりつつあります。難病とされる疾病の多くが,これらの研究に
より克服される日も遠くないと思います。また,悪性腫瘍も,外科的治療の進歩ばかりでなく,
次々に創られる新薬による化学療法,さらには重粒子線等の放射線療法,注目を集める免疫療法,
あるいはそれらの組み合わせにより,慢性疾患の治療と大差ない状況も生まれつつあります。
 今後とも,貴会会員の皆様が地域住民に寄り添いつつ,最新の医学・医療の知見を踏まえた
医療を展開されるためにも,貴誌の役割はますます大きくなると思われます。
 結びに,これまで貴誌に投稿された方々に対して敬意を表しますとともに,編集や査読に当
たられた先生方のご労苦に対し深甚なる謝意を申し上げ,ご挨拶といたします。
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