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巻頭言

高知大学医学部附属病院病院長 血液・呼吸器内科学
横 山 彰 仁
Akihito Yokoyama

本文

 2017年から新・専門医制度が開始される。私が属する内科領域は大変大きな改革を行う。これまでサブ領域の基盤として本領域でのみ生き残っていた「認定医」をなくす必要があったためである。また,主病名・主担当医としてかかわった症例を3年間で200例(終了要件は160例)経験することや,研修過程を可視化するウェブシステムを使うことなど,極めて厳しい内容となっているではないかと思う。ただし,新制度では多施設での研修が必須となっており,調査すると一般病院では上記症例数など屁でもないし,指導医も最大3名までならITが嫌いでもシステムを使えるとされている。
 しかし,3月初め現在,制度の開始時期を延期しようという動きがある。あえて書く必要もないが,1年といえども延ばすことは意味がないしあってはならないと思っている。小生は内科学会の責任者を拝命しているため大きな声では言えないが,延ばすのなら機構を解散して抜本的な改革をすべきだと思う。しかし,大金も英知も結集して構築した新制度を,再度新たに構築するような余裕は内科領域にも全くない。新制度や専門医機構への不満が言わしめていると思うが,やや政治的臭いも漂う。この方面の会議に出るようになって,偉い方々に時としておこる絶望的な意見の食い違いなど調整型の私には想像を絶する事態がしばしば生じ,この業界にはいかに変人が多いのかを痛感すると同時に,時間とともに解決する道筋もなんとなく理解できるようになった。政治的な側面がみえる今回の事態も,いずれ解決される構図が見えている気がする。
 基本となる専門医機構にお金がなく,機構内の意思決定のシステムも不明瞭で,当初は振り回されたように思う。極めて高圧的で,私などは今でもPTSDのため機構の会議になかなか足が向かないくらいである。専門医機構はギルド的な役割を果たしていくだろうが,養成数を決めるシステムをどう構築するかは今後の大きなポイントだろう。日本の専門医制度は米国とは異なり,極めて社会主義的な医療体制に組み込まれており,高齢化率が増加しているにもかかわらず医療費を抑えねばならない状態が続く限り,安月給の専門医であって,非取得のデメリットはあるが,専門医取得の利益はないままとなる可能性が高い。
 それにしても,専門医制度に研究の話がタブー視される時代は過ぎたと思うのだが,新制度における研究への配慮はあるにしても不十分である。「お前さんたちは患者様だけを診ておれ」とおバカにされている気がするが,研究費もなく人口減で将来をあきらめざるを得ないということかもしれない。かつてのように医局で両方やっていた時代には戻らないにしても,単なる労働者でない医者を養成しなければ日本の未来はないと思う。本誌のような雑誌はもちろん学術活動に貢献するものであり,今日,医師会の心意気ともいえるだろう。意気に感じて,原稿がなくなってしまうことがないように,祈りながら皆で頑張るしかなさそうである。
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